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自作曲14曲をデータで分析したら、自分のクセが見えた

•7分•3,031文字

自作曲14曲のMIDIとWAVをAIエージェントで分析して、自分の作曲のクセを探した。

自分の曲を分析しようと思ったきっかけ

友人から「テクノポップ」というジャンル分けの評だけはもらっていたが、ほかの要素はどうなのか自分では分からなかった。今まである程度作曲したのだから、それをAIエージェントに読み込ませて分析できるのではないかと考えた。メロディーやコードも含め、私らしい部分はどこにあるのか知りたかった。

どうやって分析したか

材料は自作曲のMIDIとWAVのファイル。Claude CodeとPythonを使って数値に変えた。和音・調・メロディーはMIDIから、音圧や音域のバランスはWAVから測った。測ったのは15曲。そのうち1曲は依頼を受けて編曲したもので私の作曲ではないため、和音とメロディーの集計から外した。この記事の数字は残りの14曲のものだ。

数字はすべて機械による推定だ。ただし、調は5曲、コード進行は1曲を、私がDAWで確かめて直してある。

この記事に出てくる用語は次のとおり。

用語意味
導音主音の半音下の音(Amの曲ならG#)。Vの和音に含まれ、主音へ強く引っ張る
エオリアン終止短調の♭VI→♭VII→Im。♭VIIに導音が無いので、V→Imほど強く締まらず、なだらかに主和音へ戻る
偽終止フレーズの終わりで、Vの次に主和音ではなく別の和音(長調ならVIm、短調なら♭VI)へ進むこと

分析で分かった6つのクセ

分析の結果、私の作曲のクセとして、次の6つが出た。

クセひとことで
短調の曲が中心で、導音を含むVを使わない短調の主和音(Im)と♭VIを行き来する
和音のループで曲を作るいくつかの和音を繰り返して、曲を組み立てる
主和音へなだらかに戻るV→Iで強く締めずに、♭VI→♭VII→Imで主和音へ戻る
ひとクセは半音の平行移動と借用和音で入れる和音を半音ずらしたり、同主調(主音が同じ長調・短調)の和音を借りたりして、変化を付ける
メロディーは滑らか隣の音へ進む動きと同じ音の連打が中心で、大きな跳躍は少ない
テンポは速めただし、スネアを3拍目に置くハーフタイムの曲もあり、体感はゆったりしている

このうち和声の2つ(短調で導音を使わない、なだらかに戻る)は、DAWで調とコードを確かめ直したあとの結果で、最初の分析では違う結果が出ていた。

予想どおりだったところ

この6つのうち、ループと音の抜き差し、歌いやすいメロディー、速めのテンポの3つは、おおむね予想どおりだった。私は目まぐるしい展開よりも、1つのコードやフレーズをループさせたものから音の抜き差しで作ることが多く、それを得意としているからだ。

メロディーもボカロ特有の早口や難度の高いフレーズより、歌いやすく聴きやすいものを重視していた。テンポも数値の上では「速い」に分類されるものだと分かっていた。

一度は「解決しない曲」と言われた

コード進行に関するところは「そうなんだ」と思った。言われてみればなるほどだった。

最初の分析では、Vの次に主和音へ戻らない「偽終止」が多い、つまり解決しない終わらせ方が多い、と出た。「解決すると思ったら裏切られた」という意外性を求めているのだと、確かにそうかもしれないと思った。

ところが、DAWのプロジェクトで調とコードを確かめ直すと、結果が変わった。前の分析は短調の曲も平行調の長調から度数を数え、その度数のまま和音の働きを読んでいた。そのせいで、短調の♭VI→♭VII→Imが「IV→V→VImの偽終止」に見えていた。短調の主音から数え直すと、Amの曲ならF→G→Amのように、主和音へなだらかに戻るエオリアン終止だった。本当の偽終止は14曲の中で1か所だけだった。

そもそも、長調と短調でディグリーネームの書き方が違うことを、今まで知らなかった。短調の度数の書き方は2とおりあり、平行調の長調から数える書き方もJ-POPの解説でよく使われていて、間違いではない。前の分析で外れていたのは書き方ではなく、長調の度数のまま「V→VImだから偽終止」と働きを読んだことだった。

調べ直したら、短調には短調の進行や理論があると分かって、今まで信じていた知識に「裏切られた」ように感じた。聴き手を裏切るつもりだった進行は主和音へ戻っていて、裏切られたのは私の知識のほうだった。

短調で、導音を使わない曲だった

確かめ直したあとの数字で、私の和声のクセをまとめるとこうなる。

数字分かったこと
和音の拍の69%が短調の区間短調の曲が中心
14曲中10曲で、導音を含むVが和音の1%以下主音へ強く引っ張る和音をほとんど使わない
♭VI→♭VII→Imが4曲、本当の偽終止は1か所だけ強く締めずに、なだらかに主和音へ戻る

私はIV-V-VIm-IIImという進行を多用しがちで、結果的に割合としてVの使用が少ないのだろうか、と考えていた。この並びを短調で読むと♭VI→♭VII→Im→Vmで、Amの曲ならF→G→Am→Emになる。平行調の長調で数えるVは、短調では♭VIIとして鳴っていて、導音を含むVは使っていなかった。

この進行は、椎名もたが多用しているものだと私は感じている。「大合奏!バンドブラザーズP」(バンブラP)のセーブデータには、私が耳コピして打ち込んだ椎名もたの曲が13曲残っていた。これを自作曲と同じ方法で機械に数えさせると、♭VI→♭VII→Im→Vmの並びは「Q」に8か所、「シティライツ」に1か所あり、ほかに耳コピした78曲には無かった。一方、短調の区間のVの割合は、椎名もたの耳コピが9.2%で、私の自作曲の0.2%より多かった。私はそのアーティストの曲をバンブラPでたくさん耳コピしていたので、手癖として染み付いている。彼の影響は大きいだろう。

素直な解決より「まだこの先も続くかも」と思わせたいのだと思う。ひとクセは「半音の平行移動」と「借用和音」で入れている、と分析でも出ていた。不安や緊張によりドキドキさせて聴き手を引き込む狙いを、無意識にやっているのだと感じた。

このスタイルを続ける

分析を知ったうえで、このスタイルはこれからも続けていくつもりだ。

ただ、たまにはドミナントを用いた素直な和音の解決も使ってみたい。集計から外した「おくりもの feat. 苔色かげ」は、東狐ユウが作ったメロディーと歌詞から「界隈曲のテイストで」という指定に沿い私がコード進行と伴奏を付けた曲。この曲だけは全部が長調の区間で、Vをよく使い、ツーファイブ(IIm→V→I)も入っている。基本的には分析にあるとおりのスタイルを貫きながら、自分の曲でもたまに味変をしたい。

これから

小学6年生から音楽に触れて来年で30歳になる私だが、まだまだ音楽には分からないこと、もっと学べることがたくさんあるのだと感じた。AI技術も思考や分析に取り入れながら、自分の作家性を失わない創作活動を模索していきたい。

構成案・事実確認と、私の回答をもとにした下書きにClaudeを使い、本文はツムンテマが推敲した。